いんふぇくしゃす ばーぐらりーず: あ てすと おぶ ざ にあ りぴーと はいぽせしす
論文について
- Townsley, M., Homel, R. and Chaseling, J.
- INFECTIOUS BURGLARIES: A Test of the Near Repeat Hypothesis
- British Journal of Criminology, 43(3), 615-663 (2003)
メモ
- repeat victimization(反復被害)の存在とそれに依拠した防犯活動の有効性は確認されつつあったが,空間的な近接性(near repeat)が伴うか否かも調査する(疫学的アプローチ)
- すでに既存研究で,反復被害に遭う被害対象の近隣で被害が発生し易い傾向は示されていた
- フィールドはオーストラリア連邦クイーンズランド州ブリスベン南東部の警察署管轄,犯罪データは1995/1/1 - 1997/10/31までに記録されたburglary(住宅侵入窃盗)
- 住宅の多様性は地元の不動産屋にインタビュー
- 近年大規模に開発された住宅街をhousing homogeneityが高い地域とした
- 5つの郊外で検証を実施
- housing homogeneity指標で2グループに分けられた
- "被害に遭い易い地域"は,失業率・公営住宅・低所得者層とburglaryの発生率から指標を作った(いいんか!?)
- 被害に遭った回数が1回の場合(single)と2回以上(repeat)の場合でペアを分けて,SS,SR,RRの場合の近接反復性を確認した
- この方法で犯罪の伝染のメカニズムを調べたい
- 分析方法はKnox法
- 詳細は省くが,Knox法とは各インシデント間の全てのペアで時間差と距離差を計算し,人が与えた時間的・空間的閾値による集計の不均一性を残差分析する方法
- x (0 - 1000m),y (0 - 1000m)範囲ないでランダムに生成した500件のサンプルデータを20回生成し,Knox法のベースラインを計測
- "被害に遭い易い"地域やhousing homogeneityが高い地域は近接反復的な犯罪被害に遭い易いが,両方が成立するとより強い傾向が出る
- housing homogeneityが高い地域では反復被害が多く,犯罪リスクは被害対象から反比例的に距離減衰する,という考えがある
- 近接反復被害が起こっているのでは?という仮説を検証する
- housing homogeneityとは住宅が似たような特徴(間取り,外観,セキュリティなど外的な特徴)を持っていること
- つまり犯行者にとっては魅力的なターゲットが集中している地域となる
- ただし単に似通ってた住宅が集まる地域で被害が増えるわけではなく,"被害に遭い易いhousing homogeneity"が興味の対象である
- burglarの時間的減衰は2カ月までリスクが尾を引き,6カ月ほどで大幅に減少,12カ月で元にもどる(Farrell and Pease 1993; Polvi et al. 1990; Townsley et al. 2000)
- 全く同じ地点にあるデータはKnox testの対象データから除外
この論文の画期的なところ
- 反復被害の知見や環境犯罪学の概念(日常活動理論,犯罪パターン理論)から,犯罪の近接反復的な伝染パターンを仮定し,Knox法によって検証したこと
- housing homogeneityと"被害に遭い易い"指標から,地域を分割し,近接反復被害の発生メカニズムを確認したこと